人間の思想の歩み 山崎正一

インド、ギリシア、シナ、でも、この新しい精神の事業の担い手たちは、いずれも個人の名を名乗り、あるいは、個人の名をもって呼ばれた。

個人の自由な創意がそこでは求められ、伝統に縛られない新しい個人が台頭し、実力の時代となる。従来の伝統や習慣はたえず崩れる。それは成長と発展の時代である。

都市国家の連合体が求められ、またひとたび成立した連合体も、そのままの形では維持することはできない。より強力な広範囲の結合が求められ、やがて統一的な大規模の領土国家が求められてくる。

小規模の地域社会が、次第に、より大規模な共同社会体へと結びあわされ統合されようとする。インドにおいても、ギリシアにおいても、またシナにおいても、そういう過渡期の混乱と流動の時代である。

人々は、新しい法途を求め、世界と人生とに対する新しい設計図を、また新しい座標系を求めた。

「人間の思想の歩み 山崎正一」への1件のフィードバック

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