人生の目的は、『自分の人生の目的』をさがすことである。
自分ひとりの目的、世界中の誰ともちがう自分だけの『生きる意味』を見出すことである。
変な言い方だが、『自分の人生の目的を見つけるのが、人生の目的である』といってもいい。私はそう思う。
そのためには、いき続けなくてはならない。いき続けていてこそ、目的も明らかになるのである。『われあり ゆえにわれ求む』というのが私の立場だ。
自分だけの人生の目的をつくりだす。それは、ひとつの物語をつくるということだ。自分で物語をつくり、それを信じて生きる。
しかし、これはなかなかむずかしいことである。そこで自分でつくった物語ではなく、共感できる人々がつくった物語を『信じる』という道もある。
<悟り>という物語。<来世>という物語、<浄土>という物語。<再生>という物語。<輪廻>という物語。それぞれ偉大な物語だ。人が全身で信じた物語は、真実となる。
— 五木寛之『人生の目的』